現存する天守のあるお城は全国で12。その中でも絶大な人気と美景を誇る長野県「松本城」は、五重六階の天守としては日本最古の天守。そんな松本城を実際に歩いてみて気づいた”100倍楽しむために知っておきたいこと”をまとめてみました。
目次
・松本城はどんなタイプの城を知る ・城の石垣の種類を知る ・めまぐるしく変わった歴代の城主を知る ・松本城を守る侍の気持ちを知る ・平和な時代に造られた松本城を知る ・険しい階段の謎を知る
松本城はどんなタイプの城を知る!
お城には建てる場所によってタイプが異なります。 ①「平城」・・・平地に築かれ、敷地面積が広く、水堀があるのが特長 ②「平山城」・・・小高い丘に本丸を築いているのが特長の城 ③「山城」・・・文字通り、山の上に築いた城で空堀や柵で囲んだ曲輪が特長 松本城は、①の平山城のタイプです。松本の城下町を歩くとわかりますが、高低差がなく、とても歩きやすいです。また、至る所に湧水や井戸があり、近くに女鳥羽川も流れます。つまり水に困らないエリアだということがわかります。しかし、裏を返せば地盤が軟弱ということ。それなのに、あんなに大きな城を建てるということは、相当な建築技術があったということです。
城の石垣の種類を知る!
お城の石垣は3つのタイプがあります。 ①「切込接ぎ」・・・すきまがなくなるように削った石を積み上げる方法 ②「打込接ぎ」・・・割った石を並べて積み上げる。すきまには小石を入れる方法 ③「野面積み」・・・自然の石をそのまま積み上げる方法 松本城は、③の「野面積み」のタイプです。加工せずに自然の形のまま積まれているため、近くで見ると傾斜も緩く、隙間が相当あり、おそらく登りやすかったのでは?と想像できます。逆に、雨を排水できるメリットもあるので頑丈なお城を保てたはずです。 松本城の石垣の中で、最大級に大きな石が太鼓門にあります。玄蕃石といって、なんと22.5トンもあるそうです。松本城を築城した石川玄蕃守康長が運ばせたので、玄蕃石ですが、当時この石を発見し、運びだし、ここに置こう!と決めるまでの経緯を考えるとワクワクしてしまいます。松本城を攻めた武将たちの目に映った巨大な玄蕃石は威圧するのに十分な役割を担ったに違いありません。
めまぐるしく変わった松本城の城主を知る!
松本城内を歩くと、鐙瓦(あぶみがわら:屋根瓦の先頭部分にある丸い箇所)を見ると、さまざまな家紋があることに気づきます。松本城の城主は、戦国時代から石川→小笠原→戸田→松平→堀田→水野→戸田と城主はめまぐるしく交代してきた歴史があり、城主それぞれの家紋が彫られた鐙瓦を楽しめます。城内を歩きながら、全部の家紋をコンプリートしてはいかがでしょうか? 写真は、上部が戸田氏の「はなれ六ッ星」、左下が小笠原氏の「三階菱」、右下が石川氏の「笹竜胆」。
松本城を守るお侍の気持ちを知る!
松本城では、戦国時代の主力武器になった鉄砲戦への様々な工夫を見ることができます。外に向かって狭くなっていく「鉄砲狭間」や矢を放つ「矢狭間」は、合わせて115か所あるそうです。狭間から見える松本城の周辺の景色は格別です。 石垣のところで触れましたが、松本城の石垣は野面積みのため、敵が登りやすいです。その対策として作られているのが、「石落」です。下の写真を見てください。石垣の上に少し出っ張った部分がありますが、そこが「石落」です。
中から見ると、下の写真のような構造になっています。ここから石垣を登ってくる敵に、石を落したり、熱湯をかけたそうです。石垣を登ってみるイベント
平和な時代に造られた松本城を知る!
下の写真向かった左側にある、「辰巳附櫓」と「月見櫓」が平和な時代に造られたそうです。辰巳附櫓は本天守と月見櫓とを連結する意味合いのある櫓で、また通常「石落」を設置するべきところに石落はありません。 「月見櫓」に入ると、開放感のある構造に感動します。北側、東側、南側の三方向が開口部になっていて、鉄砲狭間からやっと外が見えた大天守とまったく異なる景観に感動します。月見櫓から見る月はきっと美しいんでしょうね!あと、月見櫓の廻り縁を見ると、鮮やかな朱色で造られた「刎ね勾欄(はねこうらん)」を見ることができます。
険しい階段の秘密を知る!
松本城に行く前に、「階段が急だよ」とか「階段から落ちないでね」と友人から言われました。それもそのはず一般的な階段の勾配(傾斜)が45°くらいに対して、松本城の勾配は、なんと55°~61°あります。また、勾配くらいは手すりを持って上がれば大丈夫ですが、蹴上げ(段の高さ)が約40cmあり、これがかなりキツイです。年配の方は、途中で引き返す方もいるそうです。松本城天守の階段は、1階から6回までに7か所設けられています。その中で一番険しいと言われているのが、4階の階段です。ぜひ松本城の階段にチャレンジしてください。 以上、松本城を楽しむために知っておきたいポイントでした。国宝に指定されているお城は全国で5つ。愛知県の犬山城、滋賀県の彦根城、兵庫県の姫路城、島根県の松江城。そして、長野県の松本城です。国宝に指定された理由をいろんな角度から発見しながら歩くと面白いと思います。
四季折々の松本城を楽しむ
春の松本城
冬の松本城
国宝松本城の観覧内容
観覧料 | 大人 610円/小・中学生 300円 |
開場日 | 年末(12月29日から31日)を除き無休 |
開場時間 | ・通常 8:30~17:00(最終入城は16:30まで) ・ゴールデンウィーク期間(2016年4月29日金~5月8日まで) ・夏季期間(2016年8月6日土~8月16日火まで) 8:00~18:00まで |
観覧所要時間 | 松本城天守内の平均観覧所要時間は約45分から60分です。 |
おもてなし隊 | 国宝松本城では、9:00~16:00の間、本丸庭園内に忍者などの装束をまとった「おもてなし隊」が登場します。 |
観覧時の注意 | HPをご確認ください。http://www.matsumoto-castle.jp/info |
ホームページ | http://www.matsumoto-castle.jp/ |