【はしご酒】大トラのワイフに日夜翻弄されるハズバンドのはしご酒、「夜更けのビアパブDEアメリカの兄を思う」。「ターコイズ」→「THE GRUB」篇。

【はしご酒】大トラのワイフに日夜翻弄されるハズバンドのはしご酒、「夜更けのビアパブDEアメリカの兄を思う」。「ターコイズ」→「THE GRUB」篇。
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大トラのワイフに日夜翻弄されるハズバンドのはしご酒の時間がやって参りました。僕、このほど、課長になりました。えへ。でも部下はひとりもいません。えへへ……。ひとり課長は連夜の残業で、もはや何を見てもパワポにしか見えないというお疲れボーイですが、もちろん家に帰っても安らぎの時間はありません。えへへへ……。オフィスが一部なら家庭は二部。二部の部長であるワイフが今夜ボキの腕を力強く掴みやって来たのはJR中央本線と地下鉄東西線、丸ノ内線が乗り入れる荻窪のビア酒場でありました。ダア!

夜からスタート

からスタート

ビア酒場、「荻窪」

ビア酒場、「荻窪」
荻窪駅

中央線酒場と言えば、モラトリアムな大人が夜通しロックや文学について出口のない会話を続ける巣窟、というイメージがあるがその通り。しかし荻窪だけは夜10時を過ぎると多くの店がラストオーダーになる。戦前からお屋敷の町として形成されたお行儀のいい町なのだ。ただでさえ「不真面目」が服を着て歩いてるようなワイフには、この町の消灯時間を見習って欲しい。しかし、「どんな砂漠でもオアシスを探し出す」執念をたぎらすワイフは宵っ張りの”名所”をすでにキャッチ済みだ。

国産地ビールの美味なる”生”が飲めるコバコ 「ターコイズ」

国産地ビールの美味なる”生”が飲めるコバコ 「ターコイズ」
クラフトビアスタンド ターコイズ

今夜一軒目に訪れた「ターコイズ」は12時閉店だが、平日の夜11時でもどんどん客がやって来る。まだオープンして1年足らず、国産地ビールの生(!)を日替わりで飲ませるクラフトビール店だ。小さな店はカウンターとミニテーブル席だけだが、席が埋まっても「立ち飲みでいいもん」と客らはくじけない。

ビールは200cc小500円から、大400cc900円と選べる。黒板には、北は岩手の「パッションウィートエール」、西は大阪箕面の「ペールエール」、東は神奈川湘南の「チョコレートポーター」なんて、女子に教えたら課長ポイントがアガりそうなのまであるじゃない~♡

ここ数年、規制が変わりクラフトビールに邁進する国内の蔵元が増えてきているらしい。国産ビールに惚れ込んだマスターが仕入れる日替わりの樽生のタップは4種だがいつ来ても新しい出会いがある。ワイフが「あいぴーえ。あいぴーえ……」と一人低い声でつぶやいている。「IPA」のことだなと即座に察知しメニューで探してしまう悲しいボキ。昔から、ビール党でも地ビールにはさほど関心がなかった妻が、「クラフトビール」の看板に反応するようになったのにはちょっとしたアメリカとの縁がきっかけだ。

妻に”兄”が出来たのは4年前のこと。彼女の姉が、大恋愛の果てに結婚したのは繊細かつ真面目なアメリカ人だった。英語が出来ぬ妻はコミュニケーションの一環として、「ボケツッコミ」でアプローチを試みたらしい。もちろん失敗だった。はるばるアメリカから海を渡り、大和撫子の実家へ結婚の申し込みに来た義兄に、妻は「リピートアフターミー『なんでやねん』」と執拗に繰り返したらしい。……悪夢。完全アウェイのニッポン、お堅い顔の両親を前に緊張感漂う茶の間。そこにふざけっぱなしの妹が一匹。人生の山場をかき乱される様子を想像し僕は心底同情した。以来、妻は「”アメリカ”(義兄)とは折り合いが悪くてねえ」冷戦が続いているとのたまう。「彼はわたしをクレイジーと言うんだ。一番最初に覚えた日本語は、『buta』(豚)らしく言いながらにやにやこちらを見るんだぜ」とワイフは頬を膨らます。

本日のおすすめのIPAビアのアテには、THE 晩酌セット(クラフトビール樽生中、ガーリック味の枝豆、それにジャークチキンで1350円)を注文する。ホップが効いた「IPA」はほろ苦さの向こう側はら爽やかなエールが香る。夢心地……。

「ここは以前カレー屋さんだったらしい。そのタンドールを今も生かして作るジャークチキンが名物なのだ。しょっぱくてスパイシーでビアに合う。これはもう全米デビューするしかないな……。オバマよ、待ってろよ」。君は誰だ。

しかし。妻が今愛してやまない「IPA」(インディアンペールエールというビールのスタイル)を最初に教えてくれたのは、その青い瞳の義兄だった。「18世紀、インドがイギリスの植民地だった頃、イギリスから長い輸送に耐えうるビールの製造法としてホップを多く取り入れたのが始まりなんだ」と義兄が英語で丁寧に説明してくれるのを、電子辞書を懸命に引きながら僕はようやく理解した。妻と結婚し、僕にとっても義兄となった彼はとても友好的だ

一方、冷戦と言わないまでも、妻とはどうも打ち解けきらない空気なのもボキなりに察知した。平たくいうと「『言葉の壁』の壁」だ。世界共通語の英会話が出来ないことにコンプレックスを感じる妻同様、義兄も日本語がしゃべれないことに心を砕いており、ボディランゲッジでいけるところでも、どちらからともなく牽制する。ワイフも義兄もヘンにデリケート、間に立たされるのは例によってボキなのだった。「お待たせしました。ジャークチキンです」じっくり10分近くかけて焼かれたチキンは10種以上のスパイスをきかせじつに柔らか。皮まで旨い。クラフトビールを2杯味わったところで、ワイフが「じゃあ、今夜は国産ビアからワールドワイドビアへ飛び立つか!」とますます壊れた玩具のような顔でボキを見る。見ないで……!

旅のメモリーを思い出させる地ビール屋。 「THE GRUB」

旅のメモリーを思い出させる地ビール屋。 「THE GRUB」
beer republic THE GRUB

2軒目は駅前にありながらビルの地下という立地上、意外と住民にもまだ知られていない地ビールバーだ。料理も旨くボリューミーだ。オープンして2年目、妻と来たことも2度ほどあるが、ウッディな店内には大きな液晶テレビがあり、じつはボキがこっそりサッカー観戦をしにくるひみつのスポットでもある。ずらりと並んだ世界のビール。ワンパイント(またはボトル1本)で1000円前後と決して安くはないが、ここは痛飲する場ではない。ゆるゆるとぬるくなりゆくビアをたしなむところ。

しかし、そんなことはおかまいなしに、妻は牡蠣やグラタン、マッシュルームサラダを食べながらスペインビールをあっと言う間に空けている。

長い黒髪を一つにまとめた外人顔のバーテンが話しかけてくる。「うちは平日、朝6時まで開けてるんです。仕事終りのバーテンダーさんがいらしてくださるので、閉めるわけには参りません」「すごいな!」と妻が拍手する。

「今度のワールドカップの日は、朝10時からオープンしますのでよろしければぜひおそろいで」……ってまじか! ぜひお揃いではなくピンで訪れたい。「朝10時のオープンは初だけど朝10時まで開けていたことはある」というとんでもない宵っ張りの店だ。「夜型というよりもはや朝方だ。モーニングビア、最高だな」と妻が言う。

「2杯目は何にいたしましょう」とバーテンが速やかにメニューを差し出す。しかし、妻はメニューを見ないで、「あれ」と1本の瓶ビールを指差した。青いラベルの「ブルームーン」。酒の名は飲むはなから忘れて行く妻が、この銘柄を覚えていたことに僕は静かに驚いていた。それは、二人で初めて一緒にアメリカ旅行に行ったとき、くだんの義兄が土産に買ってくれたビールである。知的な彼らしく味の講釈をしてくれたが、「イッツ・グー」しか理解できなかった。同時によみがえる思い出は、彼が僕らの渡米に合わせ何ヶ月も前から家で手作りビールを仕込んでくれていたこと。一夜漬けでは作れないクラフトビールは、発酵させるために暗いクローゼットで何日も寝かせる必要がある。

「ヨシエが来るのはいつだい?」そうなんべんもお姉ちゃんに確認し、毎日ビールの発酵具合を確認していたそうだ。妻もビール党。義兄もビール党。両者、少々毒舌。かつ身近な人間にほど無駄にシャイ。義兄が僕らの結婚を心底祝福してくれたことは、旨すぎる彼のビールを飲んでわかった。国立公園にキャンプに行ったとき、彼は僕を夕焼けがきれいな沢のほとりに連れて行った。「サンセットはここが一番素晴らしいんだ。ノーネバーノウズ、YOUだけ特別」と言って笑った顔は、これから兄弟になるボキへの「ヨロシク!」でありイコール異国の家族全員への親愛だった。

「お兄さんはハーフですか」。ボキがアメリカに思いを馳せている間に、早速外人顔のバーテンに話しかけるワイフ。「よく言われるんですけど、残念ながら」「でもいい”彫り”のお顔ですねえ」「いい彫り……スか?」。夫婦揃って平べったい顔族だ。その平べったい家に、来月USAより客人が来る。そう、お姉ちゃん&義兄一家だ。一向に英会話が上達しない妻が、まただんまりを決め込むのではないか。ここは一つ、夫として言葉の壁など忘れよと進言すべきか、などと思っていると「攻めてみたいビールが沢山あるが、来月までとっとくか」と妻がつぶやいた。何か思うことがあるのか、黄金色のビールをじっと見る。

「ユーは知ってるかもしれぬが、当方は保守的な人間だ。だから姉ちゃんが白人と結婚すると知った時、『どこの馬の骨だ』って心配した。すぐ捨てられるんじゃないかとか。詐欺じゃないかとか。それより何より、たった一人の姉がアメリカ大陸に吸い取られる気がしたんだ。でも子どもが生まれてから、やっと挙げられた結婚式で、兄は日本語で手紙を読んだんだ。恥ずかしかったろうに、わが家族のためにへたくそな日本語で姉ちゃんを一生愛する、みたいなことゆった。それがすごく良かった」ワイフよ。それでいいのではないかしら。その景色を忘れずただハイタッチ!でいいのではないかしら。語り合うのは大切だ。でも語り合わずともビア酵母のようにいい具合に発酵してけるのも人間だ。「ここでブルームーンで乾杯するか」と妻。らじゃ。”アメリカ”が荻窪にやってくる。平べったい顔族として最高のチアーズを!

Finish! Nice outing!

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