【はしご酒】高円寺、立ち飲みはしご酒。自由人の町、高円寺で人生のパワーチャージ。「七助」→「きど藤」篇。

【はしご酒】高円寺、立ち飲みはしご酒。自由人の町、高円寺で人生のパワーチャージ。「七助」→「きど藤」篇。
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高円寺という町は、自称ミュージシャンや自称役者など何屋さんだかよくわからないスーパー自由人のために、この町には激安スーパーから、古書店、その名の通りピュアな商店が軒を連ねる「純情商店街」など、お金はなくとも心豊かに暮らせるお店がひしめき合う。今宵は、そんな高円寺の中でも安くて旨くてラブが弾けるせんべろ酒場へ妻とともに夜の酔いどれ立ち飲みピクニック。

夜からスタート

からスタート

スーパー自由人が住む街、高円寺駅に下車

スーパー自由人が住む街、高円寺駅に下車
高円寺駅

近頃、僕は身も心もお疲れモードだ。プレゼンは連戦連敗だし、入社したての新人は、解読不能な文章の企画書を元気良く「できたっす!」とか出してくるし。上司は上司で、「お前の伸び悩みの原因は殻だ。自分の殻なんかぶっ壊して俺に飛び込んで来いよ!」なんて高カロリーな圧をかけて来る。

僕の得意分野は”見積もり作成”だ。花形ではないけれど、見積もりってロマンがあるんだ。相手の心を読み、「損して得取る」って美学だって僕は見積もり作りから学んだんだ……。

”損してファン得る”を学習する立ち飲み屋「七助」

”損してファン得る”を学習する立ち飲み屋「七助」
七助

そんなおとな思春期の僕を妻が今夜連れ出したのは、高円寺の創業20年の「立ち飲み七助」。

シブい縄のれんに妻が「れれれ~」とお化けになって見せる。いいな……。この人には悩みなんか一個もない。

和食職人の技がキラリ光る激安刺身!「マスターが、『天才バカボン』のウナギイヌにくりそつなんだワン」と妻が言う。まさにその通りだった。小さなほの暗い店内には、壁に沿うようにねんきの入った狭いカウンター。「ウナギイヌだが、和食で長らく修行した経験があって、刺身や揚げ物が評判なのだワン」と妻。

店主は、我々が注文したホタルイカとマグロの刺身、それにひえひえの中生ジョッキを小走りで運ぶ。深夜まで一人で切り盛りしているのだ。絶え間なく、「チューハイちょうだい」「湯豆腐!」「あとおろし納豆も~」と声がかかる。どんな間合いでの注文でも、「へい」とうなずくとウナギイヌは黙々と料理に励む。

カレイの唐揚げ、一匹丸々300円也。料理はほぼ300円前後と大変リーズナブル。お隣さんがマコカレイの唐揚げを頼んだを見て驚いた。揚げたて丸々一匹、どーん!で350円だ。我家では僕が大好きな揚げ物が食卓にのぼることは滅多にない。妻はかつてあの世の地獄で油鍋に投げ込まれたことがあるのだろう、極度の「煮立つ油恐怖症」だ。あわせてデブのもとだと、店でも滅多に注文させてくれない。しかし今日に限って、「こっちにもマコカレイの唐揚げください!」と叫ぶ。「好きなだけ食べたるのだワン!」……僕は内心うろたえた。ひょっとして妻は僕の凹みに気づき、励ましモードになっているのか?

「ここのレモンサワーは焼酎がめちゃ濃いからゆっくりと飲むべし」と僕の健康まで気遣ってくる。こ、こわい。

魂は細部に宿る。を地でいくせんべろ酒場だった。妻が言う。「このホタルイカは手間かかってるんだ。一匹ずつ堅くて食べられない目玉を全部取ってある。だから丸ごともぐもぐできるんだ」。300円ぽっきりのホタルイカだからって、手抜きをしない。これぞ職人の心意気。「損してる。ウナギイヌはいっぱい手間かけて、めちゃ安くして損してる。って最初は私も思った。けどその損こそが、彼の魂とわかるやつが残るんだ。私みたいに」。妻が哲学を語りだした。茶色になった壁には同じく茶色になった高円寺案内マップ。「七助」の記載はなかったらしく、赤字で「ココ、七助」と書き足してある。カワいい……。して、お会計は2000円。まさに千円でべろべろ酒場。ブラボーである。

お店の良心はまず瓶ビールの値段に現れる?「きど藤」

お店の良心はまず瓶ビールの値段に現れる?「きど藤」
きど藤

次に妻が向かったのはピンク色のネオンやら小道具屋、古着屋が並ぶ商店街の路地にある「立呑み きど藤」だ。ここは高円寺の中でも新星らしい。昼間から営業していて切り盛りするのは若い兄貴二人。すでに満員の細長い店内にはカウンターと、奥には小さなテーブル席。ここは「七助」を上回る底値バクハツ価格だった。

菜の花のおひたし(130円)など100円台メニューがほとんどで、一番高いビンチョウマグロ刺しでも200円……ってどうなってんの! また品数がうなるほど多い。ボードには魚介の刺身から、天ぷら盛り合わせにフライドチキン。定番には肉豆腐や揚げニンニク串なんかもある。さらに妻が言うには、お店の真心はビールの値段に現れるのだと言う。「ビールは原価が決まってるからズルできないのだ。サッポロ赤星中瓶を390円で出すというのは、余計に儲けようと思ってないことの証」らしい。ほお~。

うつくしい盛りつけ。それはプライスレス!酒や料理が準備できると、兄貴が厨房から「ビールあいよ!」と叫び、客がセルフで運ぶスタイル。僕はチューハイ(250円)、妻は赤星を痛飲しながら、イワシの酢じめ(180円)を食べる。さわやかな酸味で盛りもうつくしい。「七助」と同じ仕事魂を感じる。安く出して威張るんじゃない。安い上に、も一つ何かを加える。たとえば一切れのカットレモンを添えるとか、ツマの盛りに角度を加えるとか。やらなくていいことをやる。きっとお客のためだけじゃない、職人としての自分に対する約束ごとなのだ。僕はいつになく殊勝に考えるのだった。

なつかしぃ~ふたりの思い出話でほろ酔う。ちなみに支払いはキャッシュオンの明朗会計。二千円分、と決めておけばそれ以上になることはない。珍しく妻が、今日はわたしのゴチだと胸を張る。「ユーはつきあう前から、遊ぶときはいっつもちょっとまけてくれてたよな」……いきなりなんの話? 「薄給なのに酔っぱらって帰れなくなった私のポッケに一万円札こっそりねじ込んでタクシーのっけてくれたことあったよな」あれは身の危険を感じたからだ、とは言えなかった。「私がなかなかその一万円を返さなかったのは、嬉しかったからだ。この人、損するとか考えてないんだろうなって。返しちゃったら、この出来事がチャラになっちゃいそうでもったいぶってた」。厨房では、あいよあいよ~! と元気な兄貴が声を張り、煮物揚げ物がどんどん並ぶ。

夢を叶えた二人の兄貴に「私はユーの損を気にしないとこ、すごくいいと思うぞ。地味な仕事山ほど抱えて、後輩と上司に挟まれてうんうんうなってるのいいって思うぞ」。僕は「なんだよ急にぃ~!」と言いながら心で滝の涙を流した。酢じめを一生懸命食べているフリをした。「ここの兄貴二人は、バイト先で出会って『いつか二人で一緒に店をやろう!』と約束し、本当に店を出したんだ。かっちょいいよな」と妻。まじか! ボキも…ボキだって、もっともっと頑張れるはず! すでに目の前の景色はゆらゆら揺れ始めているけれど、僕は明日のエネルギーを確かにチャージ……。はからずも大トラの妻の導きだ。そして1時間後、「立ってると酔わない」という持論を自ら覆しコケまくる妻を背負い家路に着くのはやはりボキの仕事なのであった。

Finish! Nice outing!

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