【はしご酒】雑貨とアンティークの町、西荻に魔窟へ妻に誘われ。「よね田」→「にぎにぎ」→「珍味亭」篇。

【はしご酒】雑貨とアンティークの町、西荻に魔窟へ妻に誘われ。「よね田」→「にぎにぎ」→「珍味亭」篇。
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毎週木曜日は、大トラの妻が夫を連れ出し、酒場をはしご酒をする。今回の舞台となるのはアンティークの街、西荻窪。これまで知らなかった妻の夜の顔に、夫は翻弄されながら、自らもまためくるめく縄のれんの世界の虜になってゆくのであった……。【東京おでかけ】

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アンティークショップがあちこちにある西荻窪駅からスタート

アンティークショップがあちこちにある西荻窪駅からスタート
西荻窪駅

僕は雑貨が好きだ。文房具や革のポーチ、舶来もののピンバッジなんかが並ぶ店に入ると胸が踊る。JR東日本中央本線西荻には和雑貨からヨーロッパのビンテージ小物など、アンティークショップがあちこちにある。土日は急行が止まらないので黄色い各駅停車に乗って、雑貨屋マップを眺めながらのんびり向かうのもしあわせなひとときだ。そう、大トラの妻さえいなければ……。

マグロを食べに焼き鳥屋?「よね田」

マグロを食べに焼き鳥屋?「よね田」
やきとり よね田

雑貨店巡りをしたのちに、カフェでワインとおいしいパンをいただく。そんな僕のプランは、妻の「まずマグロだろ」という一言によってかき消された。妻は三日マグロを食べないと禁断症状でおかしくなると言うマグロ狂だ。海を回遊する荒くれだったマグロのごとく南口の横丁に向かう。妻が脇目も振らず入ったのは焼き鳥屋の「よね田」という小さな古い戸建ての店だった。え? マグロなのに焼き鳥屋?

ヒーター設置のソト席が妻のお気に入り 焼き鳥屋だのに、看板には光るマグロの模型。ビニールカバーの外席に座り「ベストポジション獲得」と満足げだ。妻は季節も天気も関係なく外飲みを愛す。前世は野生の王国で暮らしていたのだろう。妻が陣取った狭いカウンターの下にはヒーターがあった。妻は自在に温度調節をしながら、「マグロ中落ち大」を注文する。

大は120グラム(450円)の大盛りだ。ところが、今日に限って品切れらしい。妻の横顔に怒気がにじみ隣で僕ははらはらするが、かわりの「ネギトロ」を前にすると、僕とシェアすることなく旨し旨しと平らげた。

店はコバコでも盛りはデカい 「よね田」は横丁界隈ではまだ若手だが、大盛りのマグロと大降りの焼き鳥が二枚看板。和室の2階席もある。ネギトロに続き串が隠れるほどの白レバー(80グラムだ!)を半生で注文する。大変美味。

そして牛すじと大根の煮込み。丼で出てきたのに度肝を抜かれた。ぷるぷるの牛すじに大根や揚げなどの具がおしくらまんじゅう状態だ。おもに妻が牛すじ、僕は野菜を担当。到底食べきれないと思ったサイズだったが優しい味付けのせいかあっという間に完食してしまった。

ホッピーでわかる店の愛とは。。。「ここは、”中”(ナカ)の量も半端ない。店の良心は”中”の量と比例する」というのが妻の言い分だ。”中”とはホッピーに入れる甲類の焼酎のこと。外(ソト)はホッピーだ。ホッピー1本に対して、中を2杯おかわりすると、大変リーズナブルに酔えるというのが大衆酒場の作法というのも、妻から学んだ。彼女から学ぶことは多い。が、ほとんどは子孫に胸を張って伝承できない。

なんでもかんでも聞かずにはいられない……。立ち食い寿司「にぎにぎー」

なんでもかんでも聞かずにはいられない……。立ち食い寿司「にぎにぎー」
にぎにぎ一

二軒目は、問答無用に立ち食い寿司の「にぎにぎ一」へ。一貫百円から食べられる握りは、ツメがぬってあるため醤油をつけずに食べる。ショーケースを覗き込みながら、「”いねごち”ってなんですかー」と妻が聞く。「あと、”にざだい”ってなんですかー」さらに問う。妻の幼少時代のあだ名は「どちて坊や」だったらしい。なんでもかんでも「どちて?どちて?」と尋ねる『一休さん』のどちて坊やは大変可愛いが、妻はうざったい悪童だったに違いない。

「いねごちは、まごちの小さいやつで、体がぬるぬるしてるから釣ってもふつうは捨てちゃうの。珍しいよ」とダンディなおじさんが答え、「にざだいの”にざ”は、新参ってこと。鯛の新入りって意味らしいよ。僕もさっきウィキで調べたんだけど」とマスターが言う。ネタもとはウィキペディア。正直なマスターだ。

そんな正直者マスターに、妻は「なんで指輪を五本指全部にはめてるんですかー」と極私的なクエスチョンを投下する。確かに皆が気になっていることではあったが、妻は完全にワルい顔の絡みモードだ。「五人奥さんがいるんですかー」。静かに戸惑うマスターに、「そろそろお会計を」と切り上げるのは夫の役目だ。

直感で選んだ台湾料理屋は大当たりだったのだ。「珍味亭」

直感で選んだ台湾料理屋は大当たりだったのだ。「珍味亭」
珍味亭

店を出ると、妻は「次はユーの直感で行け(店を選べ)」と路地の真ん中に立ち、僕にあごをしゃくった。はずれの店を選べばどんな制裁が加えられるかわからない。長いものには巻かれよう、なるべく空気に(妻に)流されて生きよう、そんな僕の愛をこの人は理解しない。

結婚前、「しばらくユーとは距離を置く」というメールが来たので、それは大変いいことだとホッとしていたら、「何、シカトしてんだよ。裸になってぶつかって来いよ!」とぶち切れメールが来ておののいた。あのときと同じ身の危険を今も日々感じる。僕は全身全霊の集中力でもって、「珍味亭」という台湾料理屋を指差した。1分でもいい。あたたかなラーメンをあてがって妻を黙らせたい。

豚の尻尾をアテにスッポン酒 「珍味亭」は素晴らしい店だった……。創業昭和38年。いい色合いに煮込まれた豚耳(350円)から豚足、豚の尻尾が大皿に並ぶ。妻がごくりと生唾を飲む音が聞こえた。

「界隈では一番老舗になっちゃいました」という三代目はなかなかひょうきん者だ。「タバコは床へ。床に落ちた小銭も拾わないでオッケー」などと言う。禁煙ブームのご時世に、吸い殻を床に投げ捨てるとはなんとワイルドな文化。まさにアジアの最果てだ。

丸々太った豚の尻尾は「トウモロコシのように」はじからかじってくのが流儀だ。妻が「美味しいね、豚最高だね」と僕に微笑んでくる。こんなにおっかない笑顔も珍しい。

極めつけは「スッポン酒」(250円)だった。白ワイン仕立てでスッポンエキスが入ったお酒で「元気を取り戻そう」とのたまう。それ以上元気になってどうする……!

そして常連のおじさんに絡み酒 スッポン酒でますますスパークした妻は、常連らしきおじさんに話しかけ、彼のマフラーを褒め始めた。気を良くしたおじさんは、母親が乳飲み子だった自分を抱えて東京の戦火を逃げ惑った話、神田のニコライ堂だけは空爆を免れた話、青春時代は大学のアメフト部で奮闘した話などを始めた。

妻は早々に飽きて、聞いちゃいない。引き取るのはいつだってこの僕だ。おじさんトークにあいの手を入れる僕に妻は、スッポン酒のお替わりを目で催促する。「さあ、夜はこれからだ」。S・O・S……!僕は心で叫んだ。 

Finish! Nice outing!

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