【小松市】およそ2300年前から始まる小松市の石の文化をたどる旅

【小松市】およそ2300年前から始まる小松市の石の文化をたどる旅

2016年、石川県小松市の「『珠玉と歩む物語』小松~時の流れの中で磨き上げた石の文化~」が「日本遺産」となりました。「日本遺産」とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定したもの。九谷焼などの伝統工芸が栄え、世界的建機メーカーの創業の地でもある小松市は技術と産業の集積地。その始まりは、弥生時代、八日市地方遺跡のムラを拠点にした碧玉アクセサリーの生産とされています。そんな小松の2300年前から脈々と続く石の歴史と文化をたどる旅をご紹介します。

朝からスタート

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【8:45】北陸自動車道・小松I.C.からスタート!

【8:45】北陸自動車道・小松I.C.からスタート!
小松IC

小松の石文化にまつわるスポットは里山エリアが中心となっているため、クルマの移動が必須です。小松空港に降り立ったら、レンタカーで回るのがおすすめです

【9:00】まずは小松の石文化の知識を学べる「小松市立博物館」へ

【9:00】まずは小松の石文化の知識を学べる「小松市立博物館」へ
小松市立博物館
http://www.kcm.gr.jp/hakubutsukan/

小松の歴史や自然、文化を知るために「小松市立博物館」へ。昭和33年(1958)に県内第一号の登録博物館として開館し、重要文化財・重要有形民俗文化財を含む人文・自然科学資料を収蔵する総合博物館です。2階には小松城や北前船、九谷焼など興味深い資料が展示されています。 小松市立博物館 開館時間は9:00~17:00(16:30までの入館) 入館料は大人300円、高校生以下無料。

3階に上がると、ライトアップされ、キラキラ輝く石の展示空間が出現! 「こまつの石」をテーマに、観音下石、滝ヶ原石などの石材や、管玉に使われた碧玉、水晶や金、黄銅鉱などの鉱物、九谷焼の原料となる陶石など、小松で採れる石を一挙に紹介しています。

「こまつの石」について種類ごとに詳しく紹介されています。およそ2千万年前の火山噴火で流れた灰や溶岩でできた厚い地層によって、小松は鉱物の宝庫となり、宝石群の産地になったのです。

小松ではオパールや紫水晶などが採れ、かつてブランド品として珍重されました。こちらは独特の縞模様が特徴のメノウ。地元産出のメノウが那谷寺の庭園にも使われています。一部の地域では、赤いメノウも採れたそうです。

「小松市立博物館」は「芦城公園」の敷地内にあります。加賀三代藩主前田利常の居城であった小松城の三の丸跡につくられた公園。兼六園を彷彿とさせる趣ある庭園は桜の名所でもあり、四季折々の表情が楽しめます。時間にゆとりがあったら散策してみては。

【10:00】市指定文化財「小松城本丸櫓台石垣」で三代藩主・前田利常公の美意識に触れる

【10:00】市指定文化財「小松城本丸櫓台石垣」で三代藩主・前田利常公の美意識に触れる
小松城跡

小松に居を構えた前田利常公は小松城を改修しました。城づくりへのこだわりは本丸櫓台の石垣にも見られます。金沢の戸室石や小松の鵜川石など、色調の異なる石材がモザイク状に配置され、デザイン性豊かな石垣となっています。

階段が整備されていて、天守台に上ることができます。

天気の良い日には白山連峰の絶景が一望できて、最高気分です。利常公も眺めていたんでしょうか…。

【10:40】「小松市埋蔵文化財センター」

【10:40】「小松市埋蔵文化財センター」
小松市埋蔵文化財センター
https://www.city.komatsu.lg.jp/soshiki/maizoubunkazai/index.html

重要文化財指定品を含む、小松の遺跡や発掘された出土品の数々や貴重な資料が展示されています。古代の技術をそのまま取り入れた体験(要予約)も行っており、埋蔵文化財を身近に感じられる施設です。

現在の小松駅の東側に広がる弥生時代中期の遺跡「八日市地方(じがた)遺跡」の出土品が紹介されています。大量の玉や木製品の未完成品などが発見され、玉づくりや木製品生産が行われていたことがわかりました。この集落で生産された碧玉製管玉やその原石が重要な交易品となり、列島各地の人やもの、文化が行きかう拠点へと発展したのです。

碧玉アクセサリーの加工法がわかる資料を見せていただきました。直径2㎜の碧玉円柱に、石針で1㎜の孔を開ける現代でも困難な加工技術は、当時の日本最先端と考えられており、まさに小松のものづくりの原点。碧玉を加工した管玉と、糸魚川のヒスイの勾玉を組み合わせたアクセサリーは、九州へと渡り弥生の王を魅了したというのも頷けます。

勾玉づくりや組ひもづくりなどの古代体験も行っており、時期により内容が変わります。ホームページで内容を確認して、事前予約をして訪れましょう。

【11:20】「河田山古墳群」で希少な古墳の石室を見学しよう!

【11:20】「河田山古墳群」で希少な古墳の石室を見学しよう!
河田山古墳群史跡資料館
https://www.city.komatsu.lg.jp/soshiki/maizoubunkazai/2300.html

古墳時代後半には、切石技術が発達し、良質の凝灰岩を積み上げた埋葬施設として活用するようになりました。前方後円墳や前方後方墳、円墳、方墳など、62基もの古墳が発見された加賀最大級の「河田山(こうだやま)古墳群」では、全国唯一のアーチ式天井を持つ切石積み横穴式石室が見つかりました。「河田山古墳群史跡資料館」に1基が移築復元されています。 また、併設の古墳公園では、石室を移設して当時の墳丘を復元した古墳が整備されており、資料館内の石室と比較しながら学ぶことができます。

資料館には、復元された石室のほか、河田山の調査の様子や分布、出土品が展示されています。開館は3月~11月まで、冬季は休業しています。入館料は無料です。

併設の「河田山古墳公園」にも1基が移設されており、内部の構造を見学することができます。

資料館のスタッフに申し出れば、実際に中に入って見学することも。石のズレなどを防ぐ技法を取り入れるなど、先進的な技術が施されています。アーチ型の天井は、朝鮮半島の百済王墓と似ていることから、大陸から伝わったと考えられています。

古墳の後ろを振り返れば、白山や市街地を一望できます。天気の良い日に訪れたい、穴場の絶景スポットです。

【11:55】お餅と菓子の名店「河田ふたば」で、売り切れ必至の絶品大福を手に入れる

【11:55】お餅と菓子の名店「河田ふたば」で、売り切れ必至の絶品大福を手に入れる
加賀小松 餅 御菓子 河田ふたば
https://www.facebook.com/kouda.futaba/

河田エリアに来たら必ず訪れたい一軒が「河田ふたば」。初代が小松出身で京都に店を構える、豆大福で有名な「出町ふたば」で修業し、暖簾分けを許されたお店です。この店の大福を求めて、遠方からわざわざ訪れるファンは少なくありません。

店内には、一番人気の「豆大福」をはじめ、饅頭やどら焼きなどが並びますが、早々に売り切れてしまうこともあるので、早めに訪れるのがおすすめです。

雪解けの白山をイメージして形づくるという「豆大福」(1個税込198円)。一時は絶滅したが、志ある農家が復活させたもち米「しわもち」、北海道富良野産「赤えんどう豆」、奥能登の「揚げ浜式・塩」を使い、昔ながらの製法を守ります。軟らかく伸びて、きめ細かい舌触りは、幻のもち米「しわもち」ならでは。

もう一つの名物が冷蔵ショーケースに並ぶ「ふるーつ大福」です。石川の食材を包み込んだ大福は15種類あり、季節によりラインアップが変わります。トマト、イチゴ、キウイ、マンゴー、白桃、梨、リンゴ、イチジクなど、最高級のフルーツが贅沢に使用されています。

地元農家「本田農園」の大ぶりのイチゴ(この日は紅ほっぺ)が主役の「いちご大福」(1個・税込410円)。口の中に甘酸っぱい果汁が弾け、あんことお餅とのバランスも最高です! その日により品種が変わり、本日の産地が表示されています。

一年中販売している「葛ごおりアイスバー」(1本税込194円)は、葛を用いたプルプルの食感が好評です。あずき、みかん、グレープフルーツ、ぶどう、白ぶどうの5種類あります。

【12:25】「道の駅 こまつ木場潟」で、小松名産のトマトを使ったカレーに舌鼓

【12:25】「道の駅 こまつ木場潟」で、小松名産のトマトを使ったカレーに舌鼓
道の駅 こまつ木場潟
http://www.michinoeki-kibagata.com/

広い駐車場が設けられ、小松の安心・安全な新鮮野菜・果物・お米を直売する道の駅は、お食事やおみやげ選びに最適。ドライブ途中に立ち寄りたいスポットです。

農家直送の野菜や果物、花などを販売する売場「旬菜市場じのもんや」では、小松市の特産品が目白押しです。カレーレトルトやケチャップ、おかきなど、小松トマトを使った商品が充実しています。

玄米をその場で精米してくれるコーナーもあります。JA小松市のコシヒカリのブランド米「蛍米(ほたるまい)」も購入できます。その名の通り、蛍の飛び交う清流が流れる山間地で減農薬・減化学肥料で栽培された自慢のお米です。

その蛍米のご飯を味わえる郷土食レストラン「味処 四季彩」が併設されています。こちらでランチをいただきます!

券売機で食券を購入するスタイルですが、小松らしさに溢れたメニューが豊富でどれにしようか迷ってしまいます。券を買うと自動的にオーダーが入るシステムなので、席に着いて番号を呼ばれるのを待ちます。

なんといってもイチオシは、小松産トマトの酸味とスパイスが絶妙な味わいを生む「生トマトカレーライス」(写真は大盛り税込800円)。みずみずしい生のトマトがたっぷりトッピングされています。

小松市のイメージキャラクター「カブッキー」のかまぼこが添えられた「小松うどん」(税込380円)と、「蛍米」のツヤツヤとしたご飯のおいしさが際立つ「蛍米昆布おにぎり」(税込120円)。

【13:40】世界的建機メーカーの原点がここに! 「遊泉寺銅山跡」を歩く

【13:40】世界的建機メーカーの原点がここに! 「遊泉寺銅山跡」を歩く
遊泉寺銅山跡

古くは安永年間(1770年代)の記録があり、江戸時代には採掘が行われていた「遊泉寺銅山」は、明治35年に竹内綱が譲り受け、その長男の竹内明太郎が経営にあたりました。経営の近代化をはかり、最盛期には1000人以上が働く鉱山町を築きました。その後、自家用鉱山用機械製造の小松鉄工所を経て、世界的建機メーカー「コマツ」へと発展。そのものづくり精神を次代へつなぐため「遊泉寺銅山ものがたりパーク」が2021年5月にグランドオープンします。

「遊泉寺銅山ものがたりパーク」を紹介する無料休憩所が「里山みらい館」です。中にはその歴史を学べる展示が楽しめます。冬季(11月末~3月上旬)は休館となっています。

銅の精錬作業において、溶鉱炉で精鉱を溶かすと出てくる不用分がカラミと呼ばれます。1個の重量は30~40㎏で、四角柱の形を活かして築壁用として使用されました。町内や銅山跡では今でもカラミを目にすることができます。

しばらく歩いていくと見えてくるのは、レンガ造りの炉跡。銅山らしさを今に残す風景です

1kmほど歩いたところに、高さ20mもある「巨大煙突」がそびえ立ちます。かつて精錬所だった場所で今なお存在感を放っています。時間に余裕があれば、1.3㎞地点の竪杭跡と、1.8㎞地点の砂山頂上へ。ぐるりとスポットを巡ると、全長3.3㎞の山ハイキングコースとなっています。

【14:45】インパクト大の面白スポット「ハニベ巖窟院」で洞窟地獄めぐり!

【14:45】インパクト大の面白スポット「ハニベ巖窟院」で洞窟地獄めぐり!
ハニベ巌窟院
http://www.hanibe.com/

田園風景が広がる道路を走ると突如現れる巨大な仏頭。「ハニベ巖窟院」は、石切り場跡の洞窟を利用して、昭和26年に初代院主によって開洞されました。初代・二代院主が制作した不動明王や阿弥陀如来など、膨大な数の仏像群が安置され、幽玄の世界へ導いてくれます。拝観は4月~9月9:00~17:00、10月~3月9:00~16:00、料金は大人800円、小人500円。

山を少し登ったらたどり着く洞窟の入口。ワクワクドキドキ、思わず期待感が高まります。

天井や壁に見られる、石工たちの手で刻まれた無数のノミ跡が、かつて石切り場だったことを物語っています。

全長150mの迷路のような洞窟内には、様々な仏像が安置され、ただただ圧倒されるばかり。

ここから「地獄めぐり」です。地獄絵図を再現した彫刻が次々に現れる独特の世界観に引き込まれます。

なんだか楽しそうにも見えてシュールな「鬼の食卓」。鬼たちが集い、血に染まった宴が繰り広げられているようです。

平和への願いが込められたシンボル「ハニベ釈迦牟尼大仏」をモチーフにした、ユニークなおみやげが販売されています。ハニベ大仏Tシャツ(S・M・L)2900円、オリジナルステッカー各1枚300円、マグカップ1100円、オリジナル日本手拭1000円、苔はしおき100円。地獄めぐりの記念にいかがですか?

心を込めて一つひとつ手作りされるハニベ焼もおすすめ。黒ねこの「招き猫」や「おじぎ福助」が人気で、大小さまざまなサイズが揃っています。

【16:30】小松の観音下石をふんだんに使った「東酒造」の酒蔵は必見!

【16:30】小松の観音下石をふんだんに使った「東酒造」の酒蔵は必見!
東酒造

万延元年(1860)創業の歴史ある造り酒屋「東酒造場」。風格のある入口の「大門」をはじめ、「店舗兼主屋」、「東蔵」、「中蔵」、「作業場」、「西蔵」、「検査場」、「麹室」、茶室「桂松庵」、待合兼客間「緑寿庵」、「道具蔵」、「勝手口」の12棟が、国登録文化財に指定されています。 東酒造 http://www.sake-sinsen.co.jp/

地元産の観音下石を積み上げ、龍虎やアーチの彫り物の装飾があしらわれた「道具蔵」は、通りからでも眺められます

こちらも観音下石を積んだ、重厚感のある「東蔵」。石蔵は断熱効果が高く、蔵内の温度や湿度が一定に保たれていることから、酒造りには小松の良質の凝灰岩が支えてきたことがわかります。

日本酒ファンの間でも有名な「神泉」を手がけており、地元産酒米の導入や海外向けの純米吟醸酒などにも取り組んでいます。観音下石の蔵で丁寧に醸したお酒は、一角にあるショップ「神泉石蔵本店」で購入できます。

【17:00】北陸自動車道「小松I.C.」から帰ります!

【17:00】北陸自動車道「小松I.C.」から帰ります!
小松IC

小松の石文化の出発点は、約2万年前の日本海側の火山活動により鉱物の宝庫となったこと。玉づくりから始まり、古墳や九谷焼、城づくり、鉱山採掘、日本酒の醸造など、豊かな大地の宝は、時代ごとに様々なものづくりに生かしながら小松のまちが発展してきたことがわかりました。石とともに歩んできた小松の歴史とロマンを感じる旅に出かけてみませんか。太古と現代の石文化が時を超えて結びつく、小松の人々の熱き「ものづくり精神」に出合えるはずです。 FINISH

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