【白山市】フィニッシュは温泉!「白山手取川ジオパーク」を満喫できる、おすすめサイクリングツアー

日本三名山のひとつに数えられる霊峰白山と、石川県内最大の河川である手取川。その流域には扇状地が広がり、手取川は日本海へと流れ出ます。冬の雪景色も知られる白山市は、白山から日本海にかけての水の循環(水の旅)が生まれていることから、市全域が「白山手取川ジオパーク」として「日本ジオパーク」に認定されています。つまり、白山市全体が「大自然のでっかい公園」なのです! そんな豊かな白山市の自然をまるっと体感できるサイクリングコースをご紹介します。 鶴来駅の正面の「白山市観光連盟(白山市役所鶴来支所内)」で自転車をレンタルして出発。鶴来の趣ある街並みを楽しみながら「しらやまさん」の愛称で親しまれる「白山比咩神社」へ。表参道で清らかな空気を吸って、「おはぎ屋」で道すがらの小腹を満たす食材をゲット。「黄門橋」で峡谷の迫力に圧倒されたら、道の駅「一向一揆の里」にある「食彩館せせらぎ」でいっぷく。「弘法池」に寄り道して「綿ヶ滝」で神秘の光景に浸ります。最後は「白山すぎのこ温泉」でたっぷり湯浴みを楽しんで帰路へ――。主に手取川扇状地から川と渓谷のエリアを一日で駆け抜けます。

朝からスタート
【9:00】まずは「白山市観光連盟」で自転車をレンタル

https://www.urara-hakusanbito.com/
道の駅「しらやまさん」から道の駅「瀬女(せな)」のあたりにかけての手取川沿いには「手取キャニオンロード」という自転車道が設けられていて、自転車ファンにも知られている白山市ですが、「ロードバイクのような本格的な自転車なんて持ってないし、乗れないし・・・」というわたしのような人でも十分楽しめます。「白山市観光連盟」では「白山GOレンタサイクル」というサービスがあり、サイクリング用の自転車を借りることができます。今回はこちらを利用しました! それでは、白山の自然満喫サイクリングツアー、スタート!

「白山市観光連盟」は「白山市役所鶴来支所」の中にあるので、白山市の情報のほとんどがここに揃っています。地図やパンフレットも大充実です。この日は行きたかったお蕎麦屋さんが残念ながら定休日だったため、常駐のスタッフの方にほかのおすすめを教えていただきました。こんなご時世なので「定休日が不安定なこともあるかも・・・」と勝手に心配していると、わざわざ営業しているか電話で確認してくださいました! 感謝!

自転車は街乗りにぴったりの一般的なものからスポーティーなマウンテンバイク、電動アシスト付きなど5、6種類ほどあり、自由に選べます。わたしは日々の車移動で鈍りまくった体をいたわるために、ここは無理せず電動アシスト付きにしました。手続きをすると、「いってらっしゃい!」とスタッフの方が送り出してくださいます。レンタサイクルの返却受付は17時まで。レンタル料は1台800円です。
【9:30】街の日常を垣間見ながら「鶴来街道」をサイクリング

http://oyadama.com/
鶴来駅前から次のポイント「白山比咩神社」まで、「鶴来街道」を走り出すと間もなく、こんな素敵な建物が。明治10年創業の「大屋醤油」の趣! 酒・味噌・醤油・酢の四大醸造元が鶴来のようにコンパクトに揃っているエリアは珍しいのだとか。これもまた「白山手取ジオパーク」ならではの魅力です。

「大屋醤油」の看板商品は白山の天然水で仕込む醤油「おや玉」シリーズ。看板にも「おや玉」感、出てます。

当地の水を使って造られ、特別な品質審査に合格した清酒は「白山菊酒」として親しまれています。「菊姫」もその一つ。石川県民にはおなじみのお酒ですね。素敵な佇まいのこちらは本社敷地内の出荷事務所。ここまで来たら「しらやまさん」まで間もなくです。 石川県白山市鶴来新町タ8 https://www.kikuhime.co.jp/
【9:45】「白山比咩神社」で道中の無事を祈願

http://www.shirayama.or.jp/
全国に三千余社あるという「白山神社」の総本宮「白山比咩神社」は「白山さん」の愛称で親しまれています。石川県民には毎月1日の「おついたちまいり」を欠かさないという人も多く、わたしも折に触れ、足を運んできました。これから白山の奥の方におじゃまさせてもらうので、まずはご挨拶に。道中の無事もお祈りさせてもらいました。こちらは「一の鳥居」。この奥から約250mにわたって表参道が続きます。

朝の清らかな光の中、表参道を歩くだけでも、まるで身も心も浄化されるようでした。ひんやりとした空気と流水の音色も心地よく、生き生きと繁る植生からエネルギーを感じます。

御神木の老杉。樹高約42mの巨木で、樹齢はおよそ800年とのこと。ここからしばらく歩くと「二の鳥居」「三の鳥居」と続き、本殿へ。
【10:30】一の鳥居正面の「おはぎ屋」で「笹寿司」を買う

「しらやまさん」の表参道の入口にある「おはぎ屋」では、地元産の野菜や農産物を使った食品などを販売しています。その名のとおり、おはぎが自慢のお店ですが、白山麓で育ったお米を使って毎朝手作りされる「笹寿司」も人気。当地では「ほうらい寿し」と呼ばれています。秋祭りには欠かせない郷土料理の一つなのだとか。「つぶあんおはぎ」「黒ごまおはぎ」「きなこおはぎ」「どぶろく」など個性的で種類豊富なソフトクリームも気になりましたが、すこし肌寒い日だったので、今回は道中に食べる「笹寿司」を買いました。

「笹寿司」(1個170円、4個680円、6個1020円、10個1700円)。桜エビとゴマが付いている面が表で、鱒の身やお揚げの面が裏なんだそうです。酢飯の素朴でやさしい甘みと酸味がなんだか懐かしい。

「おはぎ屋」の並びに、大きな木が2本あって、よく見ると、向かって右側の木の根元には「結びつ木」、左側の木には「見守り木」と書いた石碑が。「結びつ木」のほうは確かに2本の木が結び付いているような感じです。見守られるのもいいけれど、「まずは良縁と結び付くといいな・・・」というやましい思いで撮影しました。

「おはぎ屋」を出発したら、手取キャニオンロード(一般県道手取自転車道線)をひたすら走ります。山の稜線や木々の緑のグラデーションを眺めながら走るのはとっても気持ちいい! 自然のおおらかさを目の前にすると、日々の冴えないあれこれなんて、どうでもよくなりますね。
【12:00】「黄門橋」で絶景に身震いする

とにかく広大な里山の道をひたすらこぎ続けて、気づけば「おはぎ屋」から40分ほど走ったあたり、鳥越方面に向かう入口に手取峡谷の最も下流に架かる橋「黄門橋」があります。そんなに大きな橋ではないのですが、なかなかの絶景です。高所恐怖症気味の人はすこし背中が寒くなるかも・・・

左手には滝も。まさに「自然の彫刻」。膝がすこし震えました。エメラルドグリーンの谷に吸い込まれそう・・・。近くに観光用のパーキングもあるので、車で訪れても大丈夫。上流に目を向ければ手前の峡谷、遠くに白山というコラボレーションも楽しめます。

次の目的地に向かう時に見つけた小さな赤い橋。「であいおゝはし」とありました。というわけでここは白山市出合町。目的地の蕎麦処まであとひと息です。
【12:30】鳥越地区自慢の蕎麦を「食彩館せせらぎ」で

「鳥越城跡」と「二曲(ふとげ)城跡」が対峙する真ん中に位置する道の駅「一向一揆の里」にある「食彩館せせらぎ」の蕎麦処で蕎麦をいただきました。山芋となめこが入った「白山颪(おろし)」(950円)。山芋の力強いねばりとなめこのシャキシャキとした食感、蕎麦の風味の良さに、サイクリングの疲れも吹き飛びました。 石川県白山市出合町甲36

座敷もあってなかなか広々とした店内。入口で注文と支払いをし、できあがったら受け取りにいくスタイルです。

建物に向かって左側が蕎麦処、右側は農産物や加工食品の直売所になっています。敷地内には「一向一揆歴史館」もあり、約500年前に当地で起こった一向一揆について学ぶのもいいでしょう。のんびり見て周るとなかなか充実感のあるスポットです
【14:00】「弘法池」で神秘の湧き水を汲む

おなかも心も満たされたところで、道すがらすこし気になっていた「弘法池」に寄り道してみることにしました。

民家の集落に突如ある「弘法池」。1985年に環境庁(当時)が日本名水百選に選定したそうです。車も停められますし、自転車置き場もありました。

弘法大師ゆかりの名水として知られる「弘法池」の水は「甌穴(おうけつ)湧水」と呼ばれるものだそうで、日本に数例しかないのだとか。約2万年前に、手取川底の岩盤が浸食作用によってえぐられてできた「かめ穴(甌穴:直径約75㎝、深さ約190㎝の円筒状になっている)」から毎分約20リットルの水が湧いているそうです。地元の方がポリタンクにたくさん汲んでいました。訪れた人のための湧き水に関する資料が用意されていたのですが、ちょっと「びっくりするような所」にあるので、ここに来たらぜひ探してみてください。
【14:30】「綿ヶ滝」で自然のエネルギーに圧倒される

岸壁から放たれる滝が、まるで千切れた綿が舞う様に似ているということからその名が付いたとされる「綿ヶ滝」。32メートルもの高さから激しく川面を打ち付ける水を、思わず立ち尽くして見入ってしまいました。以前、真夏に訪れたことがあったのですが、この一帯だけはひんやり涼しく、別世界のように感じたことを思い出しました。浸食地形や断層も見ごたえがあり、あっという間に時間が過ぎていきました。

「綿ヶ滝」までの階段。おそらく傾斜60度くらいではないかと・・・。高所恐怖症気味なので本当に腰が抜けそうでした。手すりにつかまりながら、重心をとにかく低くして降りていきます。帰りは決して後ろを振り返らず。頭を空っぽにして、上だけを見て登りました。怖かった・・・

「綿ヶ滝」を背に、あの階段を上りきるとこんなに開けた景色が! そして、なぜかこんなところに懐かしい赤い陶製の郵便ポストが。
【15:30】「白山すぎのこ温泉」で源泉かけ流しの湯に浸かる

https://hakusansuginokoonsen.jimdofree.com/
源泉かけ流し100%、しかも加水・加温なし! コースの締めくくりは「白山すぎのこ温泉」に浸かります! これで翌日の筋肉痛は回避できます。

近年リニューアルしていて、食堂や、まるで「田舎のおばあちゃんち」のような雰囲気の休憩スペースも整っていました。「すぎのこ食堂」は平日の11時から14時まで。うどんや蕎麦などがあります。気になったのは温泉水で淹れるホットコーヒー「白山きりまんじゃろ」(350円)! 温泉水で仕上げる自家製パン(平日のみ販売)も、ふわふわのやさしい味が評判。早い時間に売り切れる人気商品です。

近隣の常連客も多いようで、わたしが行った時もいつも来ている様子のお姉さんが「白山すぎのこ温泉」愛を熱く語ってくれました。さて、湯冷めしないように帰路へ。 ※写真は同店の許可を得ています。
【17:00】「白山市観光連盟」に自転車を返却してゴール

https://www.urara-hakusanbito.com/
白山のダイナミックな自然をぐるっと満喫できました! 電動アシスト付き、かなりラクチンでした。大きな車輪の自転車でスピードを感じながら走ると、また違った感動がありそうです。「白山GOレンタサイクル」では自転車の返却は17時までだったので、うっかりギリギリになってしまいましたが、「白山さん」で安全祈願をした甲斐もあり、無事に戻ってまいりました。今回はサイクリングでしたが、もちろん車でもおすすめのコースです。おいしい空気と四季折々の絶景を味わいに、ぜひみなさんもチャレンジしてみてくださいね!
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